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猫とオシッコとわたし(2) [ねこのはなし]


それはある日突然始まりました。
いえ、とらさんの事を注意深く観察していれば
その予兆はあったのかもしれませんが
当時のわたしには本当に突然、という感じでした。
 
ある日の夜、自室に戻ると壁にオシッコをした形跡がありました。
何でっ?!と思って慌てて掃除しました。
次の日も夜、自室に戻ると同じ場所にまたしてもオシッコが。
掃除してはまた同じ場所にオシッコ、というのが何回か続きました。
犯人がとらさんであろうとは薄々思ってはいましたが
ある日わたしの目の前で壁に向かって放尿しているのを目撃。
とらさんのお尻をペンペンと叩いて叱った覚えがあります。
(本当ならこういう時、叱ったりしてはいけないらしいのですが。)
そのうち、別の場所にも次々にオシッコをする様になりました。
違う場所のやはり壁だったり、
わたしのお布団の上だったり、
脱いでクシャっと置いたままのわたしのパジャマだったり
カーテン、たんすの側面、
洋服をたたんでお店のディスプレイのように収納していた棚の一番上から
シャワーのようにふりかけてあった事もあったし
その都度強く叱ったりしていましたが
とらさんの粗相はどんどんエスカレートするばかり。
この頃になるとわたしも毎日自分の部屋に帰るのが嫌で
今日はどこにやってあるのか、何が被害にあっているのかと
かなりストレス全開になっていました。
わたしのストレスが高じるのに比例して
とらさんへの叱り方も単にお尻をペンペンするだけでなく
ガミガミと怒鳴ったり、スリッパなどのモノを使って叩いたり。。。
パソコンのモニターにオシッコがかけてあるのを発見した時などは
思わず激情にかられて横っ面を張り手してしまったこともあります。
もう嫌だ、こんなの耐えられない。
オシッコ臭くなってしまったたんすの中の衣類をガラガラと洗濯しながら
うえーんと声をあげて泣いてしまった事もあります。
とらさんの事はもちろん可愛いと思う反面、
このままでは憎しみを覚えてしまいそうで嫌でした。
とらさんを2階の窓から投げ捨ててしまいたいと
衝動的に思った事もあります。
誰か別の人に飼ってもらった方が
お互いの為なんじゃないかと思った事もあります。
 
猫はトイレの躾がほとんど必要の無い反面
こういう時に矯正するのがとても困難な動物であるようです。
一旦グレてしてまうとかなり手強いと言う事ですね。
 
猫の尿マーキングに効果があると言われている
フェリウェイも取り寄せてしばらく使ってみましたが
とらさんにはほとんど効果がありませんでした。
トイレのシステムもニャンともをやめて元の砂に戻しましたが
時既に遅し。
元の砂に戻してもトイレ以外の場所でのオシッコは治りませんでした。

 
とらさんのマーキングは基本的に垂直面にする傾向があったので
なるべく垂直面をなくすような部屋の配置にしてみましたが
それでもわずかなスペースを見つけてはオシッコをしてあったり
あるいは平面であるお布団の上にやってあったり。。。
ただ気付いたのは、
tabbycatが忙しくてほとんどとらさんに構ってあげられない日が続くと
決まってオシッコの被害も大きくなる、と言う事でした。
 
とらさんは普段からあまり積極的に甘えて来る子ではなかったのですが
それは素直に表現が出来ないと言うだけで
本当はとても甘えん坊で、わたしの事が大好きなんだ、と
もっと早くに解ってあげられたら良かったのですが。。。
この時は単に嫌がらせをしているんだろうと思っていました。
 
 
そんな状況がしばらく続くと、
人間と言うのは素晴らしいもので「慣れ」というのが出て来ます。
たとえ夜自室に戻って、壁にオシッコがしてあっても
「あー、またか。」と思う程度で
とらさんを叱る事も無く淡々と後片付けが出来る様になりました。
朝脱いだパジャマがオシッコで濡れていても
「とらさんはよっぽどわたしの事が好きなんだなぁ。」とか言いながら
ザブザブと洗濯機を回したり出来る様になりました。
そうやって自分の気持ちに少し余裕が出て来ると
どうしてとらさんがこんな事をしなければならなくなったのかを
考える事が出来る様になりました。
とらさんのオシッコ被害が始まった頃、
確かにこの家はとらさんにとって安心出来る場所ではなかったし、
トイレも気に入らないものに変わってしまったし
何よりいつも一緒に居たわたしの不在というのが
とらさんの心を苦しめていたのかも知れません。
そう思ったら今までとらさんに感じていた怒りの代わりに
寂しい思いや嫌な思いをさせてごめんね、という気持ちが芽生えて来ました。
もうオシッコの事でとらさんを叱るのはやめようと思えました。

つづく。 
 
   
[おまけ]
iMac-tora.jpg
3度にわたるオシッコ被害にも負けなかったiMacさんと
そんなことはすっかり忘却の彼方のとらさんのツーショット。
画面とガワの隙間から入ったオシッコが
内側で結晶化して素敵な思い出となっています。(笑)
 

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コメント 15

ヤヨ

tabbycatさんの率直さと許容力と愛情に胸打たれました。
マーキング地獄といっていいような状態、
どれほど大変なことでしょう、、、
受け入れること、許すこと、相手のことを考えてみること。
とらさん、飼い主さんがtabbycatさんで本当によかったね。
トイレを使ってくれることを当たり前だと思わずに
もっと綺麗にしてあげて、もっと褒めてあげなくちゃって思いました。

by ヤヨ (2008-06-29 15:43) 

かおり

はじめまして。
ブログ巡りをしていて立ち寄らせて頂きました。
とらさんのマーキング…大変ですね。
家の子は拾ってきた時からトイレの躾が出来ていて、粗相は一度もなく、トイレで悩んだことがなかったのでビックリしました。
うちはピッコ2回をしたトイレでは、ピッコをしても砂をかけなかったり、トイレの前で掃除をしてくれるのを待っていたりします。
こまめに奇麗にしないと…と最近はかなり気をつけています。

許容するって難しいけど、それを実践出来ているtabbycatさん、凄いです!
by かおり (2008-06-29 16:25) 

tabbycat

ヤヨさん
温かいお言葉ありがとうございます。
ちょっとウルウルしてしまいそうです。。。
愛しているはずなのに
怒りに任せて叩いてしまう自分自身が嫌でした。
とらさんの、甘えながらもちょっとおどおどした瞳が哀しかったです。
あの地獄の様な日々から抜け出す事が出来て
本当に良かったと思っています。
とらさん、昔はちょっとぐらいばっちぃトイレでも
文句も言わずに使ってくれていたんですよ。
きっと我慢して使ってくれてたんでしょうね。
猫がわたし達に求めるものは決してそう多くはないのに
その最低限の要求にすら応えられないとしたら
情けないことですよね。。。
by tabbycat (2008-06-29 16:37) 

tabbycat

かおりさん
はじめまして。
トイレが綺麗か綺麗じゃないか、
気に入った砂かそうじゃないかとかって
わたし達が思う以上に猫にとっては大問題みたいですよね。
わたしもなるべくお掃除したて状態を保つ様にはしているんですが、
立ちションはやっぱりやめられないみたいです、とらさん。(笑)

「許す」って、まだ未熟だったわたしにはとっても難しい事でしたよ。
悩んだり葛藤したり苦しんだりしながら
やっと今の心境にたどり着いた次第です。
とらさんによって、わたしも少しは人間的に成長出来たのかな??(笑)
コメントありがとうございました。(^_^)
by tabbycat (2008-06-29 16:47) 

kumimin

こんにちは。
とらさんのストレス発散法だったのかなあ?
でも、tabbycatさん、すごい!
私ならきっと耐えられないです。でも、とらさんはtabbycatさんが大好きなんですね♪
親と早くに離されちゃった子なのかなあ?普通、親がトイレトレーニングするんですよね。みいは2ヶ月お母さんと居たおかげでトレーニングすることなくトイレにしてましたけど、具合が悪くなった時、ちょこちょこお漏らしをしていたんです。ほんの少しですけど。
それでびっくりしてお医者さんに連れて行ったので今思えば、体調不良を訴えたのかなあ?って思います。

by kumimin (2008-06-29 17:48) 

たま

トラさんも悲しい、tabbycatさんも辛い日々でしたね。
わたしも、忙しいとついついやさしい気持ちで接しられなくなります。ただご飯の用意とトイレ掃除だけで、遊んだり一緒横になったりしなくなると、ツンと知らん顔するたまです。もちろん、寝床にも入ってこなくなるし・・・
「あれ?たま、このごろ冷たいね」って思うけど、その前にたまが敏感に感じてるんでしょうね。
でも、いまは大の仲良しのトラさんとtabbycatさん。どういうふうに乗り越えられたのか、つづきが知りたいです。
by たま (2008-06-29 21:02) 

Rae

愛情たっぷりに育ててもらえてよかったね、とらさん。
思い悩むとき、誰にもなかなか相談できない時など、ほんと視野が狭くなり普段なら思いもしないことをしてしまいそうになりますよね。
その立場にならないと分からないことはいっぱいあると思います。
辛かっただろうなと推測することは出来ても、これを体験されたtabbycatさんの苦悩はいかばかりかと…
辛い日々を一緒に乗り越えた同志みたいなものですよね、とらさんとは(^^)
by Rae (2008-06-29 22:56) 

seita

読んでて切なくなってしまいました。猫と生活する人間は、少なからずその気まぐれに翻弄されるものですが、tabbycatさんは特に辛い試練を受けたと思います。よく耐えましたね、心から尊敬します。
by seita (2008-06-29 22:58) 

mito_and_tanu

こんばんは
とらさん、よかったね。
by mito_and_tanu (2008-06-30 02:10) 

ねこかど

こんにちは。
うちにもおしっこ大臣(ってあだ名を付けて、ちょっとでもむかっ!とする気持ちより笑える方向に気分を向けようと思って・・・)がおりますので、深くうなずきながら読みました。
うちの場合は頭数が多くて一番ちょっかいだされやすい小梅ちゃんにその症状が出ました。トイレ掃除、遊んでストレス発散など、できることはしたつもりなのにやっぱり治らない。かわいいと思うのに、あまりに立て続けだと非常に腹立たしくなってしまう。
今でも疲れていたり体調がすぐれない時には「ちくしょーー」って思ってしまいます。でも、小梅ちゃん本人を叱ることはしていません。やっぱり逆効果なんですよねぇ〜。

いつか治ってくれたらそれほど嬉しいことはありませんが、粗相癖が治らなくても元気でいてくれたらそれでいい、って思いながら暮らしたいな、って思います。
by ねこかど (2008-06-30 12:21) 

soichiro

とても興味深い内容です。
やはりいろいろな問題って、突発ではないようですね。
注意深い観察と、その対応、その後、と、いつもtabbycatさん
レポートはとても参考になります。
これからもがんばってくださいね!
by soichiro (2008-06-30 13:35) 

nousagi

初めてお邪魔しました。
tabbycatさん、当然ですが、ほんとに猫が好きな人なんですね。
猫ハーレム、私の夢ですが、うらやましい~!

パソコンの前のとらさんの後姿・・・いいわ~!
とらさんに「nice!を100個」あげたいくらい(笑)。
by nousagi (2008-06-30 13:44) 

MARI

うちもちび太が保護したばかりの頃は布団の上で
何度かシャーしてました。
結局、ちょっと早いけどと去勢手術をして、その後家中を
自由に行き来できるようにしたら治りました。
よくよく考えると、里子に出すから情が移らないようにと、
なるべく距離を置いていた為、一人で過ごす時間も多く、
甘えん坊な上にまだ子猫だったちび太は、淋しくて
仕方なかったのかもしれません。

怒りたいわけじゃないけど怒ってしまう、分かります。
私もつい怒ってしまって、後からごめんねって思うこと、
よくあります。
でも長く付き合ううちに、それもまたこの子の特徴であり
個性なんだから、と受け入れられるようになるものですね。
by MARI (2008-07-01 13:14) 

櫻

前記事のおしっこをしているトラさんの姿を見ていたら
tabbycatさんは自分のおか~さんなんだからね! と
主張しているように見えました。
それと同時に、うちの「おしっこたれぞう」の臭いが蘇ってきました(笑

留守中ではなく、帰宅直後にやられていたので
甘えたい気持ちの裏返しだったんでしょうね。
抱きしめてナデナデすることの大切さを感じました。
それにしても、ベッドの上のペットシーツにtabbycatさんの
愛と苦労を感じましたよ・・・。

by (2008-07-01 23:10) 

tabbycat

kumiminさん
うーん、たぶん最初はストレスが原因だったんじゃないかと。。。
わたしだってとても耐えられませんでしたよ〜。
でもだからってとらさんをほっぽり出すわけにも行かないし、とても悩みました。
とらさんがうちに来る前の事はまったくもって謎なんですが
ひょっとすると母猫と早くにはぐれちゃったのかもですね。
みいちゃん、卵巣の病気でしたっけ。
炎症で膀胱が押されたりしたんですかね。。。
でもそれで早くに病院に連れて行けて
むしろ良かったのかもしれませんね。

たまさん
たまちゃんもちょっと素直になれないところがあるんですね。
ちょっぴり拗ねてるところも可愛く思えますよね〜。
とらさんは、叩かれるなんてどう考えても嬉しい刺激のはずが無いのに
それでも構ってもらえないよりマシ、って思ってたみたいで
なんだかいじらしいです。。。

Raeさん
ありがとうございます。
とらさんを叱るくだりは書こうかどうしようか悩んだんですが
でもやっぱりオシッコの問題はキレイごとじゃすまないし、と思って正直に書きました。
今思えば、もう少し違った対応をしてあげていれば。。。と若干の後悔はありますけどね。。。
だけど途中で投げ出したりしなくて良かったなって思ってます。
とらさんみたいな一癖も二癖もある様な子、
わたししか面倒見きれないし、って自信もつきました。(笑)

seitaさん
ありがとうございます。
わたしがもっともっとオトナだったら
とらさんにもあんな思いをさせずに済んだんだろうな、と思ったりもします。
でもねー、「そこはないだろ!」ってところに限って
ジャーっとやってくれるんですよねー。(涙)
わたしも少しは忍耐と言うものを覚えたようです。。。(;^_^A

mito_and_tanuさん
ありがとうございます。
今はお互いストレスなく暮らせています。(^_^)

ねこかどさん
叱れば叱るほどに泥沼化していきますよね。。。
それが当時のわたしにはわからなかったんですが。
可愛いと思う気持ちと憎たらしいと思ってしまう気持ちの狭間で
飼い主も精神的に辛いですよね。。。
今はもう完全に「ベッドの足元がトイレ」と
とらさんはもちろんわたしもそう認識しているので腹も立たなくなりました。
>いつか治ってくれたらそれほど嬉しいことはありませんが、粗相癖が治らなくても元気でいてくれたらそれでいい、って思いながら暮らしたいな、って思います。
わたしも全く同感ですっ♪(^_^)

soichiroさん
ありがとうございます。
猫は猫なりに、色々と我慢もしてくれてるんでしょうね。きっと。
その我慢も限界になった時、問題行動として表面化するのかもしれません。
やたら攻撃的になるとか自傷行為に及ぶとかじゃなく
たかがオシッコ程度で済んだことをラッキーと思った方が良いのかもですね。(笑)

nousagiさん
はじめまして♪
気が付いたらすっかり猫がわたしの生活の中心になっていました〜。
猫ハーレム生活を満喫しております。(笑)
とらさんの後頭部はお肉がもりもりしていて可愛いんですよ♪
後頭部へのnice!100個(気分)も頂き
ありがとうございます!(^_^)

MARIさん
そうなんですよね。
酷く叱ってしまった後で後悔して
ごめんねごめんねって優しくしたりして
これじゃあDVの加害側と同じですよね。。。
ちび太君にもそんな事があったとは知りませんでしたが
今は治っているんですよね。良かったです。
紆余曲折はありましたが
今はわたしもとらさんのオシッコ癖が
そんなに嫌ではなくなりましたよ。
壁に向かって豪快にシャーってやってる姿が結構愛嬌があったりして。。。(^_^)

櫻さん
困った困った、と思っていた癖も
離れてしまえば愛すべき癖にも思えますよね。
櫻さんもちっこの香りが懐かしいでしょ?(笑)
めー様も本当は甘えっ子さんなのですね。素直じゃない子ってなんか愛おしく感じちゃいます。
ペットシーツぺたぺたは、一見すると変な宗教に染まっている様にも思われそうで
ちと心配。。。(;^_^A

MORIHANAさん
naoさん
猫屋福助(株)さん
黒猫3匹*さん
みきおさん
nimamaさん
ありがとうございました。
by tabbycat (2008-07-02 19:07) 

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